借用書の書き方まとめ!無効にならない法的効力のあるフォーマット教えます。

今回は借用書の書き方について、以下の内容を徹底的に解説していきます。

  • 借用者を作成するメリット
  • 借用書の書き方・フォーマット
  • 借用書を書く際の注意点

借用書の書き方がわからない人は、ぜひとも参考にしてください。

借用書を作成する2つのメリット

借用書を作成するメリットは2つあります。

借用書を作成する2つのメリット
  1. 貸主がお金を貸しやすくなる
  2. トラブルを回避できる

トラブルを未然に防ぐためだけでなく、万が一返済方法などで揉めたときにも有効です。

借用書は作っておいて損はないので、必ず作成するようにしましょう。

お金を借りた後に作れる債務弁済契約書
債務承認弁済契約書

 

借用書を作らずにお金を借りた人は、債務承認弁済契約書を作成しましょう。

借用書と債務承認弁済契約書の違いは「作成するタイミング」。

区分 借用書 債務承認弁済契約書
作成するタイミング お金の貸し借りをする前 お金の貸し借りをした後

債務承認弁済契約書の法的な効力は、借用書と同じです。

メリット①:貸主がお金を貸しやすくなる

借用書を作成すると貸し借りがスムーズに運ぶことが見込めます。

お金を貸すことは、誰しも心理的に不安を覚えるものですよね。

貸主の立場として、もっとも恐れるのは「借主が踏み倒さないか」ということ。

そのため借用書で返済を約束すれば、貸主の心理的な抵抗も減らせます

借主は借用書を用意して、貸主がお金を貸しやすい状況を作りましょう。

メリット②:トラブルを回避できる

借用書は「お金の貸し借りの事実を証明する書類」です。

あらかじめ借用書を作成しておけば、!–以下のような–>トラブルになる心配はありません。
!–

【貸主と借主の間で金額や返済期日の認識が食い違っている場合】

ポン太
この前貸してくれた10,000円は月末になったら返すね。
公務員たぬき
え?貸した金額は30,000円で今週末には返すっていう約束じゃなかった?
ポン太
はぁ?10,000円しか借りてないよ(まさか・・・ぼったくる気か!?)。
公務員たぬき
いやいや、30,000円だよ(なんだこいつ・・・ナメてんのか!?)。

–>
お金の貸し借りに関して証拠を残さないと、後で話が食い違うケースも出てきます。

しかし借用書を作っておけば、事前に取り決めた内容を双方で確認できますよね。

また借用書には法的な効力があるので、万が一裁判になっても安心です。

人間関係にしこりを残さないためにも、借用書は必ず作成しましょう。

借用書の書き方「記載が必要な8つの項目」

借用書フォーマット① 借用書フォーマット②

借用書に必要な記載項目は8つあります。

借用書に記載する項目
  1. タイトル・作成年月日
  2. 借主と貸主の名前・住所・押印
  3. 連帯保証人の名前・住所・押印
  4. お金を借りた日・借り入れ金額
  5. 返済方法・返済期日
  6. 利息・損害遅延金の定め
  7. 期限の利益の喪失
  8. 収入印紙の貼付・割印

以上の項目が欠けていると、借用書が無効になることもあるので注意してください。

上記を満たしていれば、必ずしもテンプレートをダウンロードする必要はありません。

また借用書に用いる紙は、基本的にどんなものでもOKです。
白無地のコピー用紙などを使うのが一般的)

借用書の記載項目①:タイトル・作成年月日

タイトルは「借用書」か「金銭消費貸借契約書」と明記するのが一般的とされます。

また以下のようにつけても法的に有効です。

  • 借用書
  • 金銭消費貸借契約書
  • 借用証
  • 借用証書
  • 金銭借用証書

いずれをタイトルにしても、作成手順に変わりはありません。

またいつ作成した借用書なのかも年月日で明記してください。

借用書と金銭消費貸借契約書の違い

借用書と金銭消費貸借契約書の違いは以下の通り。

区分 借用書 金銭消費貸借契約書
発行部数 1部 2部
保管する人 貸主 ・借主
・貸主

「自分でも保管したい」という人は、標題を金銭消費貸借契約書にしましょう。

借用書の記載項目②:借主と貸主の名前・住所・押印

借主と貸主の情報として、記載する項目は以下の通り。

  • 借主の氏名・現住所・押印
  • 貸主の氏名・現住所・押印

本人以外の人が記入すると、偽造を疑われるおそれがあります

借主・貸主それぞれ、必ず直筆で記入してください。

印鑑はシャチハタでもOKですが、記名が直筆ではない場合は実印が必須です。

借用書の文体は簡単なものでもOK!

借用書のフォーマットでは、借主・貸主の名前を「甲・乙」と呼ぶものがほとんどです。

また例文も難解で、特に個人で作成する場合の障壁になっています。

しかし借用書は当事者の呼び方や文体に、これといった制限はありません

  • 自分
  • 相手
  • 第三者

以上について、誰が読んでも正しく理解できればOKです。

借用書の記載項目③:連帯保証人の名前・住所・押印

「事故や病気のためにお金を返せなくなるかもしれない」と心配な人もいるでしょう。

貸主への信頼を裏切らないためにも、連帯保証人を付けるのがおすすめです。

あなたに万が一のことがあっても、貸主は連帯保証人に返済を求められます。

連帯保証人は貸主や借主と同じく、名前・住所の記入と押印をすればOKです

周囲に最適な人物がいれば「連帯保証人になってほしい」と相談してみてください。

借用書の記載項目④:お金を借りた日付・借り入れ金額

お金を借りた日付とは「借りるためのお金を実際に受け取った日」。

「〇年〇月〇日」と、年月日を必ず記入してください。

借用書の作成日とお金を借りた日付が一緒なら「本日」と書いても有効とされます。

また借りるお金は返済が必要になる金額なので、記入ミスがないようにしましょう。

借用書の記載項目⑤:返済方法・返済期日

借用書に書く返済方法は「持参(手渡し)」か「銀行振込」が一般的です。

銀行振込でお金を返す場合は、以下の項目も記載します。

  • 銀行名
  • 支店名
  • 口座番号
  • 振込手数料を負担する側

返済する期日は「今月中」などの曖昧な表現を避けてください。

お金を借りた日と同様に、年月日を明確に記述しましょう。

分割で返す場合の記載項目

お金を分割で返す場合は、以下の取り決めも記載が必要です。

  • 1回の返済額
  • 合計の返済回数
  • 返済の間隔
    (毎週・毎月など)
  • 各返済期日
    (毎月25日など)
  • 完済する期日
    (〇年〇月〇日)

分割で返済すると、完済までの期限も当然長くなります。

返済途中で返済方法や期日で揉めないためにも、具体的に決めておきましょう。

借用書の記載項目⑥:金利・遅延損害金の定め

親しい間柄なら、利息は不要になることもありますよね。

しかし個人間の貸し借りでも、利息を払うとしたほうが双方にメリットがあります。

  • 借主・・・返済をおろそかにしなくなる
  • 貸主・・・お金を貸すことの金銭的メリットが生まれる

借りる金額によって異なる、利息制限法の上限金利は以下の通り。

借り入れ金額 上限金利
10万円未満 年20.0%まで
10万円~100万円未満 年18.0%まで
100万円以上 年15.0%まで

設定する金利は、必ず利息制限法の上限以下にしてください。

法外な金利や遅延損害金は、法的に無効になるので把握しておきましょう。

金利を決めるもうひとつの法律「出資法」

金利を決める法律は、利息制限法以外に出資法があります。

出資法の上限金利は2010年の法改正により、業者による貸し付けは20%に制限されました。

しかし個人間の貸付については従来通り、借りる金額に関わらず年109.5%のままになっています。

個人間での金銭貸し付けの場合、20万円を借りたときの、それぞれの上限金利での利息は以下の通り。

区分 上限金利 利息
(1年後)
総返済額
(1年後)
利息制限法 年18% 36,000円 236,000円
出資法 年109.5% 219,000円 419,000円

出資法を適用した場合の利息は、借り入れ金額とほぼ同額になります。

個人間の出資法の上限金利は、明らかに暴利といえるでしょう

ただし後でトラブルに発展した場合、出資法による金利はほぼ無効になります。

ただし貸主が出資法の金利を求めてきても、安易に乗らないようにしてください。

遅延損害金について

遅延損害金とは、返済が遅れたときの罰金のこと。

利息と同じく遅延損害金も、利息制限法で上限が決まっています。

借り入れ金額 上限金利
10万円未満 年29.2%
10万円以上
100万円未満
年26.28%
100万円以上 年21.9%

借用書に遅延損害金が未記載でも、民法第404条により貸主は年5%の割合で請求OKです。

借用書の記載項目⑦:期限の利益の喪失について

まず期限の利益とは「返済日までは借りたお金を返さなくていい」ということ。

期限の利益の喪失とは「返済日を待たずに返済しなければならなくなる」ことです。

たとえば「借主が債務整理をした場合にはすぐ一括返済する義務を負う」など。

ただし期限の利益の喪失は必ずしも、借用書に盛り込む必要はありません

双方が相談して納得した上で、借用書に記載するかを決めましょう。

借用書の記載項目⑧:収入印紙

1万円以上の借り入れは印紙税法により、収入印紙の貼付が義務です。

収入印紙は郵便局やコンビニに売っているので、手軽に購入できます。

借用書のスペースがある部分に、収入印紙を貼付して消印を押しましょう

借り入れ金額ごとの収入印紙の金額は以下の通り。

借り入れ金額 収入印紙の金額
1万円未満 不要
1万円以上
10万円以下
200円
10万円超
50万円以下
400円
50万円超
100万円以下
1,000円
100万円超
500万円以下
2,000円
500万円超
1,000万円以下
10,000円

もしも裁判沙汰になったときに、収入印紙を貼っていないと本来の3倍の税金を課されます。

余計なお金をかけないためにも、収入印紙は必ず借用書に貼り付けてください。

借用書を作成する際の3つの注意点

借用書を作成する際の注意点は3つあります。

借用書を作成する際の注意点
  1. 鉛筆やシャープペンシルで書かない
  2. 借り入れ金額を漢数字・アラビア数字で書かない
  3. 日付を書き忘れない

いずれも守らないと、借用書を作っても無効になることもあるので注意が必要です。

注意点①:鉛筆やシャープペンシルで書かない

仕事などで正式な書類を書く際、鉛筆やシャープペンシルは使わないですよね。

借用書もそれと同じで、文字が消えるもので書いてはいけません

最悪の場合は貸主が、受理後に内容を改ざんする可能性があります。

必ずボールペンや筆ペンなど修正できないもので書きましょう。

また最近は消せるボールペン(フリクションペン)もあるので、記入する前に確認が必要です。

注意点②:借り入れ金額を漢数字・アラビア数字で書かない

表記によっては数字の書き換えが、たやすくできるので注意が必要です。

  • アラビア数字の「1」を「7」に書き換え
  • 漢数字の「二」を「三」に書き換え

借り入れ金額の数字は必ず「壱」「弐」「参」などの大字で記入してください。

アラビア数字 大字
1(円) (金)(円)
2(円) (金)(円)
3(円) (金)(円)
4(円) (金)(円)
5(円) (金)(円)
6(円) (金)(円)
7(円) (金)(円)
8(円) (金)(円)
9(円) (金)(円)
10(円) (金)(円)
100(円) (金)(円)
1,000(円) (金)壱千(円)
10,000(円) (金)壱萬(円)
100,000(円) (金)壱拾萬(円)
1000,000(円) (金)壱百萬(円)
12(円) (金) 拾弐(円)
345(円) (金)参百四拾伍(円)
6,789(円) (金)陸千七百捌拾玖(円)
12,341(円) (金)壱萬弐千参百肆拾壱(円)

四〜九は修正による改ざんのおそれが少ないため、普段使っている漢数字でもOK。

「1,000」「10,000」「100,000」などは、最初に「壱」をつけましょう

また金額の前には「金」、金額の後には「円」も明記します。

注意点③:日付を書き忘れない

借用書に記入する以下の日付は、絶対に書き漏らさないようにしましょう。

  • 借用書の作成日
  • お金を借りた日
  • お金を返す日

書き忘れたからといって、後で適当な日付を書き足すのは絶対にNGです。

借用書の改ざんは「刑法第159条:私文書偽造等罪」に該当します。

罪に問われてしまっては、お金を借りるどころの話ではありません。

-この記事を監修してくれたファイナンシャルプランナー-
恩田雅之先生

恩田 雅之(おんだ まさゆき)先生

ファイナンシャルプランナー

保有資格

CFP® (日本ファイナンシャル・プランナーズ協会)
証券外務員2種(日本証券業協会)
住宅ローンアドバイザー ((財)住宅金融普及協会)
金融知力インストラクター (NPO法人 金融知力普及協会)
IFA(金融商品仲介業者)

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