今回は借用書の書き方について、以下の内容を徹底的に解説していきます。
- 借用者を作成するメリット
- 借用書の書き方・フォーマット
- 借用書を書く際の注意点
借用書の書き方がわからない人は、ぜひとも参考にしてください。
借用書を作成する2つのメリット
借用書を作成するメリットは2つあります。
- 貸主がお金を貸しやすくなる
- トラブルを回避できる
トラブルを未然に防ぐためだけでなく、万が一返済方法などで揉めたときにも有効です。
借用書は作っておいて損はないので、必ず作成するようにしましょう。
メリット①:貸主がお金を貸しやすくなる
借用書を作成すると、貸し借りがスムーズに運ぶことが見込めます。
お金を貸すことは、誰しも心理的に不安を覚えるものですよね。
貸主の立場として、もっとも恐れるのは「借主が踏み倒さないか」ということ。
そのため借用書で返済を約束すれば、貸主の心理的な抵抗も減らせます。
借主は借用書を用意して、貸主がお金を貸しやすい状況を作りましょう。
メリット②:トラブルを回避できる
借用書は「お金の貸し借りの事実を証明する書類」です。
あらかじめ借用書を作成しておけば、!–以下のような–>トラブルになる心配はありません。
!–
【貸主と借主の間で金額や返済期日の認識が食い違っている場合】
–>
お金の貸し借りに関して証拠を残さないと、後で話が食い違うケースも出てきます。
しかし借用書を作っておけば、事前に取り決めた内容を双方で確認できますよね。
また借用書には法的な効力があるので、万が一裁判になっても安心です。
人間関係にしこりを残さないためにも、借用書は必ず作成しましょう。
借用書の書き方「記載が必要な8つの項目」
借用書に必要な記載項目は8つあります。
- タイトル・作成年月日
- 借主と貸主の名前・住所・押印
- 連帯保証人の名前・住所・押印
- お金を借りた日・借り入れ金額
- 返済方法・返済期日
- 利息・損害遅延金の定め
- 期限の利益の喪失
- 収入印紙の貼付・割印
以上の項目が欠けていると、借用書が無効になることもあるので注意してください。
上記を満たしていれば、必ずしもテンプレートをダウンロードする必要はありません。
また借用書に用いる紙は、基本的にどんなものでもOKです。
(白無地のコピー用紙などを使うのが一般的)
借用書の記載項目①:タイトル・作成年月日
タイトルは「借用書」か「金銭消費貸借契約書」と明記するのが一般的とされます。
また以下のようにつけても法的に有効です。
- 借用書
- 金銭消費貸借契約書
- 借用証
- 借用証書
- 金銭借用証書
いずれをタイトルにしても、作成手順に変わりはありません。
またいつ作成した借用書なのかも年月日で明記してください。
借用書と金銭消費貸借契約書の違いは以下の通り。
区分 | 借用書 | 金銭消費貸借契約書 |
---|---|---|
発行部数 | 1部 | 2部 |
保管する人 | 貸主 | ・借主 ・貸主 |
「自分でも保管したい」という人は、標題を金銭消費貸借契約書にしましょう。
借用書の記載項目②:借主と貸主の名前・住所・押印
借主と貸主の情報として、記載する項目は以下の通り。
- 借主の氏名・現住所・押印
- 貸主の氏名・現住所・押印
本人以外の人が記入すると、偽造を疑われるおそれがあります。
借主・貸主それぞれ、必ず直筆で記入してください。
印鑑はシャチハタでもOKですが、記名が直筆ではない場合は実印が必須です。
借用書の記載項目③:連帯保証人の名前・住所・押印
「事故や病気のためにお金を返せなくなるかもしれない」と心配な人もいるでしょう。
貸主への信頼を裏切らないためにも、連帯保証人を付けるのがおすすめです。
あなたに万が一のことがあっても、貸主は連帯保証人に返済を求められます。
連帯保証人は貸主や借主と同じく、名前・住所の記入と押印をすればOKです。
周囲に最適な人物がいれば「連帯保証人になってほしい」と相談してみてください。
借用書の記載項目④:お金を借りた日付・借り入れ金額
お金を借りた日付とは「借りるためのお金を実際に受け取った日」。
「〇年〇月〇日」と、年月日を必ず記入してください。
借用書の作成日とお金を借りた日付が一緒なら「本日」と書いても有効とされます。
また借りるお金は返済が必要になる金額なので、記入ミスがないようにしましょう。
借用書の記載項目⑤:返済方法・返済期日
借用書に書く返済方法は「持参(手渡し)」か「銀行振込」が一般的です。
銀行振込でお金を返す場合は、以下の項目も記載します。
- 銀行名
- 支店名
- 口座番号
- 振込手数料を負担する側
返済する期日は「今月中」などの曖昧な表現を避けてください。
お金を借りた日と同様に、年月日を明確に記述しましょう。
お金を分割で返す場合は、以下の取り決めも記載が必要です。
- 1回の返済額
- 合計の返済回数
- 返済の間隔
(毎週・毎月など) - 各返済期日
(毎月25日など) - 完済する期日
(〇年〇月〇日)
分割で返済すると、完済までの期限も当然長くなります。
返済途中で返済方法や期日で揉めないためにも、具体的に決めておきましょう。
借用書の記載項目⑥:金利・遅延損害金の定め
親しい間柄なら、利息は不要になることもありますよね。
しかし個人間の貸し借りでも、利息を払うとしたほうが双方にメリットがあります。
- 借主・・・返済をおろそかにしなくなる
- 貸主・・・お金を貸すことの金銭的メリットが生まれる
借りる金額によって異なる、利息制限法の上限金利は以下の通り。
借り入れ金額 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 年20.0%まで |
10万円~100万円未満 | 年18.0%まで |
100万円以上 | 年15.0%まで |
設定する金利は、必ず利息制限法の上限以下にしてください。
法外な金利や遅延損害金は、法的に無効になるので把握しておきましょう。
遅延損害金について
遅延損害金とは、返済が遅れたときの罰金のこと。
利息と同じく遅延損害金も、利息制限法で上限が決まっています。
借り入れ金額 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 年29.2% |
10万円以上 100万円未満 |
年26.28% |
100万円以上 | 年21.9% |
借用書に遅延損害金が未記載でも、民法第404条により貸主は年5%の割合で請求OKです。
借用書の記載項目⑦:期限の利益の喪失について
まず期限の利益とは「返済日までは借りたお金を返さなくていい」ということ。
期限の利益の喪失とは「返済日を待たずに返済しなければならなくなる」ことです。
たとえば「借主が債務整理をした場合にはすぐ一括返済する義務を負う」など。
ただし期限の利益の喪失は必ずしも、借用書に盛り込む必要はありません。
双方が相談して納得した上で、借用書に記載するかを決めましょう。
借用書の記載項目⑧:収入印紙
1万円以上の借り入れは印紙税法により、収入印紙の貼付が義務です。
収入印紙は郵便局やコンビニに売っているので、手軽に購入できます。
借用書のスペースがある部分に、収入印紙を貼付して消印を押しましょう。
借り入れ金額ごとの収入印紙の金額は以下の通り。
借り入れ金額 | 収入印紙の金額 |
---|---|
1万円未満 | 不要 |
1万円以上 10万円以下 |
200円 |
10万円超 50万円以下 |
400円 |
50万円超 100万円以下 |
1,000円 |
100万円超 500万円以下 |
2,000円 |
500万円超 1,000万円以下 |
10,000円 |
もしも裁判沙汰になったときに、収入印紙を貼っていないと本来の3倍の税金を課されます。
余計なお金をかけないためにも、収入印紙は必ず借用書に貼り付けてください。
借用書を作成する際の3つの注意点
借用書を作成する際の注意点は3つあります。
- 鉛筆やシャープペンシルで書かない
- 借り入れ金額を漢数字・アラビア数字で書かない
- 日付を書き忘れない
いずれも守らないと、借用書を作っても無効になることもあるので注意が必要です。
注意点①:鉛筆やシャープペンシルで書かない
仕事などで正式な書類を書く際、鉛筆やシャープペンシルは使わないですよね。
借用書もそれと同じで、文字が消えるもので書いてはいけません。
最悪の場合は貸主が、受理後に内容を改ざんする可能性があります。
必ずボールペンや筆ペンなど修正できないもので書きましょう。
また最近は消せるボールペン(フリクションペン)もあるので、記入する前に確認が必要です。
注意点②:借り入れ金額を漢数字・アラビア数字で書かない
表記によっては数字の書き換えが、たやすくできるので注意が必要です。
- アラビア数字の「1」を「7」に書き換え
- 漢数字の「二」を「三」に書き換え
借り入れ金額の数字は必ず「壱」「弐」「参」などの大字で記入してください。
アラビア数字 | 大字 |
---|---|
1(円) | (金)壱(円) |
2(円) | (金)弐(円) |
3(円) | (金)参(円) |
4(円) | (金)四・肆(円) |
5(円) | (金)五・伍(円) |
6(円) | (金)六・陸(円) |
7(円) | (金)七・漆(円) |
8(円) | (金)八・捌(円) |
9(円) | (金)九・玖(円) |
10(円) | (金)拾(円) |
100(円) | (金)百・佰・陌(円) |
1,000(円) | (金)壱千・仟・阡(円) |
10,000(円) | (金)壱萬(円) |
100,000(円) | (金)壱拾萬(円) |
1000,000(円) | (金)壱百萬(円) |
12(円) | (金) 拾弐(円) |
345(円) | (金)参百四拾伍(円) |
6,789(円) | (金)陸千七百捌拾玖(円) |
12,341(円) | (金)壱萬弐千参百肆拾壱(円) |
四〜九は修正による改ざんのおそれが少ないため、普段使っている漢数字でもOK。
「1,000」「10,000」「100,000」などは、最初に「壱」をつけましょう。
また金額の前には「金」、金額の後には「円」も明記します。
注意点③:日付を書き忘れない
借用書に記入する以下の日付は、絶対に書き漏らさないようにしましょう。
- 借用書の作成日
- お金を借りた日
- お金を返す日
書き忘れたからといって、後で適当な日付を書き足すのは絶対にNGです。
借用書の改ざんは「刑法第159条:私文書偽造等罪」に該当します。
罪に問われてしまっては、お金を借りるどころの話ではありません。